ご挨拶
  •  この度、第19回日本認知療法・認知行動療法学会を、2018年4月に開設したばかりの国際医療福祉大学東京赤坂キャンパスで開催できること、また本学会設立以来、初となる、看護職の立場として大会長の大任を賜りましたことを心から光栄に思います。
     今回のテーマは、「人を結び、チームを育てる」といたしました。
     認知行動療法は多数のエビデンスに支えられ治療法として確立してきていますが、国内では実施できる専門家に限りがあり、未だ十分に普及しているとはいえません。また質の確保についても多くの課題があります。平成28年診療報酬改定では看護師が医師と共同で認知行動療法を実施した場合に算定可能となり、医師以外の職種への広がりとチームでの介入に期待が寄せられましたが、現実的にはほとんど算定できず、むしろ普及から遠のいたようにさえ思われます。
     しかし、平成28年改定を機に、認知行動療法を多職種で担い、それぞれの立場を尊重しつつ結びつき、チームを作ること、またそのチームを育てることで、患者・クライエントにとって最良の認知行動療法を提供するという土壌が、少しずつできてきたとも考えられます。多職種で認知行動療法を担うことは、患者・クライエントだけでなく、その職種にとっても知識・スキルの向上といった多くの恩恵をもたらします。またチームを育てる上で不可欠な相互研鑽は、認知行動療法の質の確保にも貢献できるでしょう。さらに今後、国家資格を持つ公認心理師をはじめ、心理職の専門家の方々も、そこでますます重要な役割を果たすことになるでしょう。
     今こそ、認知行動療法を中心に多職種が結びつき、チームを育てるときではないかと思います。そこには認知行動療法の実践や教育、研究、普及のそれぞれの局面での課題が立ちはだかります。今回の学会がそれを乗り越える一機会となり、認知行動療法のさらなる発展につながることを期待しています。

                          第19回日本認知療法・認知行動療法学会
                                    会長 岡田 佳詠
                            (国際医療福祉大学成田看護学部)

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第19回日本認知療法・認知行動療法学会